ロンドンパラリンピックの柔道(視覚障害)女子52kg級の日本代表 半谷静香選手に、これまで経験してきたこころの悩みについてお聞きしました。

Q:半谷選手は生まれつきの弱視だったそうですが、高校までは普通校に通ってらっしゃったんですよね。そして、中学校からは柔道部に所属されていたと。健常者と同じ立場でスポーツをされるには、いろんな苦しい体験があったのではないかと思うのですが、いかがでしたか?

まず、普通の柔道と私たちの柔道とでは、組み手があるかないかで違うんですね(※)。当時も目は見えにくかったですし、組み手が見えないと、そもそも突き指がすごく多いんです。しかも、相手の選手は私が見えないのを知っているし、奥襟を取ってくるんですね。そうすると私はもう何もできない(笑)。私の場合は一度相手に触れないと組み手に行けないので、どう対策しても、何をどう練習しても、パッと奥襟を取られて振り回されて投げられての繰り返しで…。ただの忍耐トレーニングみたいな感じでした(笑)。
※編集部注:視覚障害者柔道は両者が組んだ状態から競技を行う

Q:聞くだけできつそうです…。でも、そんなに苦しかったのに柔道をなぜやめなかったんですか?

当時は柔道を好きじゃなかったと思うんです。だけど、やめる勇気もなかった。もっと言うと顧問の先生が怖かったから辞めたいって言えなかったんです(笑)。ただ、やっていてよかったなぁとは高校の時にすごく思うようになっていて、それは何かというと、自分は(弱視のために)走れないことがコンプレックスだったんですね。そんな中、柔道をやれているという事実が“自分は運動ができる!”と思わせてくれて。コンプレックスがなくなったわけではないけど、少し改善されたというか、“やればできるんだ!”って毎日の生活に自信が持てたんです。

②へ続く

Reported by チアアップ!編集部

半谷静香Shizuka HANGAI

1988年7月23日、福島県生まれ。生まれつき弱視の障害があったが、高校までは普通校に通う。兄の影響で中学から柔道を始め、大学時代に視覚障害者柔道に出会う。2007年に行われた第22回全日本視覚障害者柔道選手権大会48kg級で優勝を飾ると、国内を代表する選手に成長し、数々の国際大会に出場。大学卒業後には小川道場で稽古を重ね、ロンドンパラリンピックに女子52kg級代表として出場、7位入賞を果たした。現在はエイベックス・グループ・ホールディングス(株)に所属。2016年のリオパラリンピック出場を目指し、稽古に励む日々を送っている。