
Q:今まで陸上競技を続けてきた中で、辞めたいなと思ったり、やっぱり続けようと思ったり、いろんな悩みと戦ってきたかと思いますが、どんなことを経験されてきましたか?
私は中学校から陸上を始めたんですけど、はじめは無理やり陸上部に入らされたというか(笑)。ダンスをやりたかったんです。夢も陸上関係ではなかったんですけど、ちょうど顧問の先生が定年を迎えられるタイミングだったりして、全国大会に先生を連れて行きたい!っていうのがひとつの目標になって、本格的に走り始めました。高校ではインターハイで優勝したいという目標と“日の丸を背負いたい!”という大きな夢ができて、大学に入ってからそれを達成できたときは本当にうれしかったです。やっぱり“JAPAN”というのはかっこいいし、周りのみんなも「すごい!」と言ってくれるし。でも試合に集まった時に周りの顔を見たら、浮かれている自分がすごく恥ずかしくて……。当時は選ばれたことに満足している自分がいたんですけど、そこじゃなくてもっと上を目指そうと。代表になった時から自分のためじゃなくて、日本が勝つために選ばれたんだという自覚を持たなきゃならないというのが、その時の自分にはすごく大きな壁でした。変な言い方になってしまいますが、代表の試合は喜んで出る試合ではない、というのをすごく感じていましたね。プレッシャーで熱を出してしまったり、たくさんの迷惑をかけてしまいました。Q:楽しんで走ってきた時代から責任を背負って走る時代になって、それが重荷になったということですか?
はい。自分の一番の目標が「代表入り」だったこともあって、代表に入った後の厳しさがすごくつらかったんです。でも、楽しまないと続けていられないところもあって、それなのに一時は結果だけを求めて陸上をやってしまって、楽しむことを忘れていたので、やっぱりもがいていたし、とても苦しかったですね。Q:その時は何かをして乗り越えたんですか? それとも時間が自然と解決してくれたんでしょうか?
2014年の2月に日本代表の監督に「今のままではお前に先はない」ってすごく厳しく言われたんです。代表に選ばれた達成感とか安心感があったのを見透かされていたんですね。自分としても“このままじゃダメだ”とか“どうしたらいいんだろう?”というのをずっと考えていたんですけど、こういう時はやっぱり結果も悪くて……。ただある時に「今の経験は必要だから」と思ったんです。それまでは明日のことだけを考えてやっていたんですけど、何年か先にどうなっていたいかを考えるようになって、今はこれでもいいと思えるようになった。そこからですかね、少し変われました。Q:今の大きな目標は?
大会名でいえば東京オリンピックです。でも、それよりも日本代表に必要な選手になりたい、必要とされる選手になりたいと思っています!Reported by チアアップ!編集部
藤森安奈Anna FUJIMORI

1994年11月10日、千葉県生まれ。日本でトップクラスの短距離ランナー。中学から陸上を始め、3年次に全日本中学校陸上競技選手権大会に出場。高校では名門・東京高等学校に進学し、3年次のインターハイでは女子4×100mリレーの優勝に貢献した。2013年、青山学院大学に進学後もインカレなど多くの大会で活躍。2013年アジア陸上競技選手権大会の日本代表に選出されると、女子4×100mリレーで福島千里、北風沙織、渡辺真弓とチームを組み2位に輝いた。2014年の仁川アジア競技大会でも4×100mリレーメンバーに選ばれ銅メダルを獲得。100mの自己ベストは11秒68(2015年12月時点)。リオ五輪をめざしトレーニングの日々を送っている。